大陸系地政学
アドルフ・ヒトラーが率いたナチス・ドイツと大日本帝国の帝国主義的な拡張政策に一定の影響を与えたと考えられている。事実、ハウスホーファーの副官であったルドルフ・ヘスがナチス党に入党しており、『わが闘争』の口述筆記を行い、後に、ナチスの副総統となっており、『わが闘争』にもハハウスホーファーの理論がある程度影響していると考えられている。
また、日本においても、昭和初期に、ドイツとの地理的な類似性からドイツ地政学の影響を大きく受けており、小牧実繋が『日本地政学宣言』(弘文堂書房、1940年)を著し、「大東亜共栄圏」の概念を形成し、また、岩田孝三の『国防地政学』(帝国書院、1943年)においても、その地政学理論を日本の拡張政策に結びつけるべきであるとの記述がみられる。
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地政学の理論が当時の政策立案に決定的な影響を与えたことを立証することはできないが、このような地政学の姿勢というものは、日本では軍国主義の理論として差別的に排斥された。特に、国際関係を地理的要因、軍事的要因のみで分析する地政学的アプローチは、経済、通商、投資関係が国際関係を説明する極めて重要な要素であることをまったく無視していることをからして致命的欠陥がある。
また、確かに国家は現在でも国際関係における基本的アクターではあるが、20世紀後半以降、国際機関や大規模多国籍企業を始めとして、NPOなど国際関係におけるアクターの多様化が顕著になっていったにもかかわらず、そのような変化に対応できなかった。しかも、国家内部においても利害関係は多様であり、政策決定は重層的かつ多様なものとなる。そして、かかる意思決定過程が国際関係に影響を及ぼすにもかかわらず、「一枚岩の国家」というありもしない前提を元に議論を構築しているという欠陥がある。